独り言は大声で。

完全不定期で、受験の話をしたり旅行の話をしたりしていきます。たまに覗きにくるといいことあるかも。

201012 洞爺湖で沈没しかけた話

 更新をサボりにサボり、前回の投稿からおそらく半年近く経過しているわけですがふと思い出したので久しぶりに更新することにします。ブログをサボっている間にもまた旅行に出かけ、また数々の事件に遭遇したのでその話でもしましょうか。

 今回の旅行は8月下旬から9月の始めにかけて東北と北海道を巡るというものでした。こういうことを言うと「こんな時期に首都圏から出かけるとは何事か!けしからん!てんてんぷるぷる!」という反応が返ってきそうですが、まあそんな人たちは一生ステイホームしていればいいだけなのでほったらかしておくことにします。あ、でも最近は「旅先での楽しい出来事を投稿するのはSNSの新マナー違反」ということになっていたんでしたっけ。しかしこのブログはSNSではないので知ったことではありません。というわけで旅行記を書いていくことにします。

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支笏湖といえばこの橋らしい。

 さて、今回の事件の舞台は支笏湖です。新千歳空港からもバスでアクセスできる、隠れたスポットですね。要するにただの湖なのですが、「支笏湖ブルー」という青い水が有名らしいです。確かにきれいではあると思いますがわざわざ見に来るほどのものなのかはよくわかりません。1回行けば十分だと思います。

 事件のきっかけは、何の気なしに借りたレンタルボートでした。井の頭公園とかにあるやつですね。ペダルをこぐと前に進む、ごく普通のスワンボートです。昔は乗ると楽しかった記憶がありますが、今見るととてもショボいというか子供だましというか、大学生になった今乗るものではないようには見えます。大学生の謎のノリ(大学生経験者ならご理解いただけるでしょう)で男子大学生4人が二手に分かれてスワンボートと、それが進化したような「あめんぼう」なるボートに乗り込みました。こうやって文章にしてみて改めて思いますが、この絵面は地獄ですね(笑)。

 しかし、まあ面白くない。まず全くと言っていいほど前に進まないのです。後から考えると壊れていたから進まないだけなのですが、とにかく努力が報われないボートなわけです。5分ほどで飽き、しかしあと25分間は乗る権利を有しているのでとりあえず湖に浮かんでいることにしました。つまり見事にサンクコストの罠にはまっているわけですが、北海道のド田舎自然豊かな地域で他にやることもないので時間をつぶすことにしたのです。

 それにも飽きて雨にも濡れるし戻るか、ということになってまた進まないボートを漕ぎ始めたのですがどうにも進まない。どんなに漕いでも進まないのでふと周りを見ると4人組(これもおそらく大学生)が乗り込んだスワンボートがずんずん前進しているのが見えました。どう考えてもおかしい、壊れているボートを借りてきたのではないかとその時気づきました。まあ陸についてからどうするのか話をすればいいや、と思ったのですがそういえばこのボートは動力をほぼ完全に喪失しているわけです。

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船が洞爺湖と一体化した瞬間

 しかも、どこから入ってきているのかは知りませんが足元に水が入り込んできています。どこかに亀裂があるのかとも思いましたが気泡が見えるわけでもなく状況は全くもって謎です。そのうちボートが傾いてきて、しかも自力で状況を打開できないのでボートに貼ってあった「緊急連絡先」なる電話番号に電話をかけてみることにしました。ここまででも十分に大事件ですが、ここからが本当の事件の幕開けになるのです。

「もしもし、先ほどそちらでボートをお借りした者ですけれども」

「え、ボートですか?」

「いや、そちらって貸しボート屋さんですよね?」

「そうですけど、うちではボートは貸してないですよ」

「いやいやいや、さっき大学生4人でボート借りたじゃないですか」

「いや、うちは貸してない!」

「貸してない!じゃなくて僕たちは間違いなくボートを借りて今湖の上にいるんですよ。ついでに言うと、この電話番号は借りたボートに書いてある番号で、間違いなくその番号にかけてます」

「じゃああなたは今湖のどこにいるんですか?」

「『支笏湖遊覧船』みたいなことが大きく書いてある遊覧船の乗り場の近くです、というかそちらの事務所から見えるはずです。黄色いスワンボート浮かんでますよね?」

支笏湖?うち洞爺湖だけど?あ、わかった。うちと支笏湖は会社が一緒なんですよ。うちのボートだそれ」

「(うちのボートだ、じゃねえよ)なるほど。じゃあそちらから支笏湖の方に連絡していただくことってできますか?僕たちは支笏湖の連絡先が分からないので」

「ハイハイ、じゃあ連絡しとくよー」

 というような、今思い出しても謎すぎる会話が交わされたのですが、ことの真相は①借りたボートは洞爺湖所属②洞爺湖支笏湖の貸しボート屋は同じ会社で、お互いボートを融通しあっている③それでボートを借りてきたものの緊急連絡先はそのままだった、ということでした。まあありがちといえばありがちなトラブルですね。そもそも洞爺湖のオジサンが名乗ってくれればよかったんですが、なぜかちょっとしわがれた声で「ハイ、もしもし?」というような調子で出たことも今回のすれ違いの一因だった気がします。電話の出方は大切ですね(笑)。

 で、しばらくしたら真横からでっかい観光船が突っ込んできました。突っ込んできたというよりは助けに来てくれたのですが、なぜか横づけではなくまっすぐ船が突っ込んできました。僕も船舶免許を持っていますが、普通ほかの船に近づくときは横から近づきます。まっすぐ行くと波に押されて衝突してしまうリスクがあるのでそうするのですが、器用にというかなんというか真横から突っ込んできました。

 しかしそのタイミングで小さな和船が近寄ってきて、結果としてはそちらに救助されました。どうせならそのまま観光船に乗せてくれたほうがありがたかったのですが(笑)。例の仕事のできないアヒル氏はボートに引きずられて連行されていました。 

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「連行」という言葉がピッタリ合う引きずられ様ですね

 これにて一件落着、無事に救助されました。陸に上がったらバスタオルを渡され、「ごめんね~」と言われました。逆に言うとそれだけでした。始めから全く進まなかったことも伝えましたが「あー、壊れちゃったんですねー」と言われただけでした。なかなか行間を読んでくれない人というのはいるものです。一度自分の財布に入れた金は絶対に出さない人というのは世の中に一定数いるようですが、まさかこんなところで遭遇するとは思いませんでした。1000円なのでこれ以上は何も言いませんでしたが、おそらくここに行くことはもうないでしょう。 

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まあ綺麗ではあるのだが

 今の時代はこういうトラブルに対してはより真摯な対応が求められるようになっているように思います。ネットが発達して個人の発信力が大きくなった現在において(僕もこうして発信しているわけですが)こういう失敗をしてしまうことは大きな損害になりうるのだな、ということを今回の一件で感じました。訪問者ほぼゼロのこういうブログならいいですが、より発信力のある人に対してこういうことをしてそれを紹介されると企業側の損失は図り切れないように思います。ま、僕は旅行中の面白い事件としてしか捉えていないので別に何とも思わないわけですが。