独り言は大声で。

完全不定期で、受験の話をしたり旅行の話をしたりしていきます。たまに覗きにくるといいことあるかも。

201120 Go toを中止しろ!という人たちの誤りと日本が心配だという話

 日本では陽性者の増加が指摘され、Go to Travelキャンペーンがその原因だ、ということになっています。例によって僕はコロナへの過剰対応に反対しているので、Go toも当然継続されるべきだと考えているわけですが、今回はその話をしていくことにします。

Go to反対派・中止派の誤り

 Go to継続に反対する人たちの言うことを見ていると飲んでいるお茶を吹き出しそうになるのであまり見ないようにしていますが、「税金で遊びに行くとはけしからん」「遊びに国が金を出すのか」「直接旅行業界に現金を給付すればいいではないか」「金持ちが優遇されている」等々、バカの展覧会とでも形容すべき面白いご意見がたくさん開陳されています。このブログはあくまでお上品に運営しているのであまり他人を罵倒したくはありませんが、この手の意見についてはあまりの理解の浅薄さに目の眩む思いです。

 まず、旅行というのは行く側にとっては遊びでも迎える側にとっては遊びではなく立派な「職業」です。彼らは生きるためにホテルなり飲食店なりを営み、あるいは雇用を受けているのに、そのことに注目されないことに大変な疑問を感じます。そして、Go toはその導入の経緯から考えて救済の目的とされているのは旅行者ではなく観光業に従事する企業・人員です。旅行者が得に旅行をできるという面ばかりが強調されるために「遊びに国が金を出す」というアクロバティック論理が爆誕してしまうのだと思いますが、全くもって本質を理解していない意見だと思います。

 この制度がよくできているなと思うのは極めて効果的にレバレッジが効いているところです。例えば不況にあえぐ観光業界に1億円を流したいと思ったときに政府が金を直接給付すれば当然1億円が必要です。しかし、そこで直接給付ではなく「旅行費の半額を支援する」という様式を取れば政府の支出を5000万円に抑えて同額の経済効果を実現することができます。旅先での消費を考えれば、5000万円の歳出で1億円を上回る経済効果も期待できるでしょう。しかも、旅行者が増えると実に多くの業界が潤います。ホテル・旅館・店舗・交通など直接の恩恵を受ける業界はもちろん、ホテル・旅館の出入り業者(食材、リネン、清掃などを担う様々な企業)、更にその先の漁師や農家など、非常に多くの業界まで効果が波及していくわけです。ただ直接給付してもこの効果は望めません。というか、そんなことをしていたら金がいくらあっても足りません。Go toのレバレッジ効果は計り知れないのです。

 「金持ちが優遇されている」という指摘は一見すると外れてはいません。ただ、元々この政策は貧困層に向けた救済策ではなく先ほども述べた通り観光業界に向けた救済策である以上、Go toに対してこのような批判を向けるのは筋違いです。貧困層に向けた施策が貧困層に届いていなければそれは批判されるべきですが、今回についてはそのような批判は全く当たりません。ある程度、金に余裕がある人に金を使ってもらい、金がなくなっている観光業界に融通しようとしているのがこの施策だということを理解する必要があります。

Go toを中止したいなら

 以上のことを踏まえても、どうしてもGo toを中止すべきだと主張するなら、「Go toを中止することによる便益がGo toを継続することによる便益を上回る」ということを説明する必要があります。そして、それは中止を要求する側が証明する責任を負っていることです。おそらくこれを説明することは不可能なことと思います。観光業界はGo toの恩恵を受け、一時期の需要急減から急速に回復しました。これを帳消しにするような不利益が社会に起こるというのはちょっと想像し難いことです。Go toで感染が拡大している、だからGo toは中止しろ、という小学校の学級会レベルのことを言っている人もいますが(それが医師というのが大変に嘆かわしい)、そんな簡単な話ではありません。

 

 一定の感染対策は国民の声を踏まえると仕方ないにせよ、Go toを中止しろという批判は全くもって的外れなものです。しかし、なぜかその意見にマスコミが乗っかり扇動しているこの国は大丈夫なのか、とても心配になります。