独り言は大声で。

完全不定期で、受験の話をしたり旅行の話をしたりしていきます。たまに覗きにくるといいことあるかも。

210810 修学旅行ぼっち事件&ボーイングとJAL事件

 中学受験塾で働いていると「どうしてもこの中学校に通いたい」という思いの強い生徒から、「親に塾に入れられて気づいたら小6の夏期講習になってしまっていたがもちろんやる気はない」という恐るべき生徒まで色々な生徒に出くわします。やる気のない生徒をやる気にさせるのが講師の仕事に含まれるかということについてはそれぞれの講師が色々な考えを持っていますが、ぼくは小5以下についてはこれが講師の仕事の一部であると思う一方で小6についてはもう講師の仕事ではないと思っています。受験学年になってやる気になれないならもう救いようがないというか、救うコストとリターンが釣り合っていないというか、かける労力を他の生徒に回すべきだと考えているからです。

 一方で、やる気がある生徒がさらに前向きになるように持っていくのはやってもいいかなと思っていて、芝での思い出を話すこともあるのですが今回はその話を書いてみることにします。なかなか面白いですよ。

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例によって写真と本文は関係ありません

修学旅行ぼっち事件

 おお、何やらとても激しいタイトルがついているではないですか。このブログの管理人は修学旅行でぼっちになったらしいですよ。ただ、ぼくの場合は誰かに嫌われているというわけではなく(敵は多いのですが)、ただ単にはぐれたから一人で観光してきたというだけの話です。

 この事件が発生したのは高2の時の修学旅行で那覇を訪問した時のことでした。ぼくが沖縄好きになったきっかけの旅行でもあります。当時は今ほど航空オタクではなかったぼくは自由行動(正確には「班別自主研修」)の時間に那覇基地や瀬長島に出かけることはなく、大人しく国際通りを徘徊することにしたのでした。当時から航空オタクになっていたら国際通りなどには行かずに那覇基地の見学を申し込んでいたか、瀬長島で一日中飛行機を眺めていたと思います。

 しかし、当時のぼくは航空オタクではなかった一方で、お魚オタクではあったために公設市場の魚屋で店員と話し込んでいました。この魚の特徴はこうだ、とかヤシガニがてんてんぷるぷるこんこん、とかオニダルマオコゼに刺されるとああなるこうなる、などとしゃべっていたのです。そして、ふと周りを見回すとさっきまでいたはずの班員が見当たりません。店員さんに聞いたら「さっきみんなでどっか行っちゃったよ」とのこと。だったらそのときに教えてくれよ、という話ではあるのですが無事にみんなが迷子になってしまいました。社会通念上はぼくが迷子になっているのですが、そんなこと知ったことではありません。ぼくは悪くない。

 仕方がないので一人で観光すればいいや、ということにして他のグループとくっついたり離れたりしながら県庁前に到着し、ゆいレールに乗り込みました。するとあら不思議、そこには担任のT先生がいるではないですか。この先生はちょっと抜けたところのある先生なのでぼくが一人であることも気づかれないかなと期待したのですが、流石にこのときには気づかれ「一人か?」と尋ねられました。どうみてもぼくは一人なので「はい、みんなが迷子になりました」と答えたところ「それはみんなが迷子になったのではなく君が迷子になっただけだ」というような、至極当然な、しかしこの先生の口から出てくるとは思っていなかった秀逸な返事が返ってきました。あれ、今日の先生は鋭いな、と思っていたら「じゃあ俺と一緒に空港まで行こう」と言われたのですが、それは嫌だったし(ごめんなさい)、小禄のイオンに寄る予定があったので「小禄で降りますね」と言ったら「お、そうか。飛行機には遅れるなよ」ということで無事放免されてこの事件は解決を迎えたのです。

 この事件の結末は実に芝らしいなと思います。普通の学校なら班別自主研修が班別になっていない時点で大目玉だと思うのですが、この先生はそれには一切触れませんでした。さらに、「イオンに寄る」と告げたときには(呆れていたのかもしれませんが)笑って「飛行機に遅れるなよ」で行かせてくれるというのは実に芝らしい話です。生徒のことを信頼しているのか、ぼくには何を言っても無駄だと思っていたのかは今となっては分かりませんが。

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事件現場はここである(この写真は本文と若干の関係を持っている可能性があります)

ボーイングJAL事件

 さて、今度は飛行機の話なのかな、と思いきやこれは本物の飛行機ではなく紙飛行機の話です。これはぼくの雑談ネタの中でも一番の人気を誇っています。

 この話を説明するには芝の校舎の構造を説明する必要がありますが、芝の総合校舎は地上8階地下1階の構造になっており、2階が中1、3階が中2、4階が中3、と学年につれてフロアが上がっていくようになっています。

 そしてここから先は大声ではいえないのですが(だったらブログに書くなという批判はさておき)、「校舎裏に紙飛行機を飛ばしてどこまで行くか競う」というとんでもない遊びが芝生の間では定期的に開催されていました。そして、これは学年が上がるごとに飛距離が伸びる(実際には飛距離は期待ほど伸びず、ほとんどが芝の敷地内に墜落するのですが)ので、学年が上がったときに頻繁に開催される傾向があった記憶があります。今もやってるのかな?笑

 この催し物はもちろん先生に見つかると盛大な雷が落ちるので、開催には細心の注意が払われていました。しかし、あるとき不幸にも先生に見つかってしまったのです。正確にはバレたかバレてないか微妙なタイミングでした。飛んで行った飛行機を見て盛り上がっていたところに先生が来たんですね。先生だって生徒が何をやっていたかくらいは察したようで「何やってんだ?」と言われました。が、ここから先の会話がすごい。こんな感じの会話が繰り広げられました。

 

先生「何やってんだ?」

ぼく「紙飛行機を作ってました」

先生「作ってるだけなら外見てないだろ」

ぼく「えーっと、少なくともぼくは飛ばしてないですね」

先生「じゃあ誰が飛ばしたんだ?」

ぼく「(飛ばしてた人を指差しながら)コイツです」

先生「〇〇(ぼくの名前)は何やってたんだ」

ぼく「さっきも言った通り、紙飛行機を作ってただけです」

先生「飛ばしてなくても作ってたなら同罪だ!」

 

 おお、予想通りの展開ではないですか。大体こういう場合は紙飛行機の製作者も実際に飛ばした人も怒られるというのがこの後の流れです。しかし、そんなことで怒られるぼくではありません。昔から「ああいえば上祐」をモットーに生き延びてきたぼくにとって、紙飛行機を作っただけで怒られるというのは屈辱です。やはり反論せずにはいられません。このとき、ぼくはニヤニヤしながら大体以下のようなことを言いました。

 

「先生、本当にそうでしょうか?今回、ぼくは言うなればボーイングエアバスの立場です。実際に飛ばした彼はJALの立場ということになりますが、今回、先生が問題視しているのは『紙飛行機を飛ばしていたこと』なのでJALの行動を問題視していることになります。であれば、JALのとった行動についてボーイングの立場にいるぼくが怒られるというのはおかしいのではないでしょうか?JALのミスによりJALの飛行機が墜落したとして、ボーイングはその責任を取りませんよね?」

 

 おお、この正しいんだか正しくないんだかよくわからない反論、すばらしいですね。なんとなく違う気がするけどどこがどう違うのかと言われるとどこが違うのかよくわからない。ちなみにこれを言ったぼく自身ですらどこがどう違うのかイマイチ把握できていません。でもなんか違うような気がします。

 そして、これを受けた先生の反応は

 

「それもそうだな」

 

というものでした。え、これで納得するの?と自分でも思いましたが、どうやら先生は納得してくれたようです。今回は飛ばしたその場を目撃したわけではないので追及しても逃げられると思って追及の手を緩めたという可能性もありますが、何はともあれ怒られずに済みました。めでたしめでたし。

 次回予告

 今日は二つのエピソードを書きましたが、書いているうちに思い出してきたことがいろいろあるのでこの手のエピソードはシリーズ化を検討しています。大門未知子事件とか、釣り事件とか、ホテルの壁に穴が開いた話(これは聞いた話ですが)とか、落研の思い出とか図書委員会の思い出とか芝峯委員会の思い出とか、書ける(=芝の名誉が傷つかない)範囲で書いていこうと思っています。