A380を有効活用している会社について考えてみる
前の記事で、A380はだいぶコストパフォーマンスの悪い航空機らしいという話をしました。そして、記事の最後にA380をうまく活用した会社の例としてエミレーツ航空の名前を出して記事を終わりにしたので、今日はその話を考えてみることにします。ということで、前回の記事を読んでいない人は前の記事を読んでからこの記事を読むことをオススメします。
1つの鍵は「豪華さ」か
ルフトハンザやアシアナのようにA380の扱いに苦戦している会社がある一方で、エミレーツやシンガポール航空はうまくこれを使いこなしているように思います(特にエミレーツは100機以上のA380を保有し、しかも30年ほど増益を続けているのでA380の重荷というものを感じません)。
じゃあその違いは何なのか?と考えると、まず思い当たるのがこれらの航空会社が機材が豪華なことで評判の会社だということです。当然A380も豪華な客室になっていて、エミレーツ航空にはシャワー室があったりシンガポール航空にはファーストクラスを超える「スイートクラス」なるものがあったり、と普通の旅客機ではあり得ない設備が搭載されています。これらの設備を通じて他の会社の飛行機と圧倒的な差別化をすることで客を惹きつけているという面は見逃せないように思います。
超巨大機を導入することは、どの会社がすることであってもそれなりのニュースにはなります。例えばANAがA380を導入した時も、確かにニュースにはなりました。でも、そこで「飛行機の中でシャワー」「(予想を超える)豪華な座席」などともっと目を引くようなことを発表できたかどうかがが明暗を分けているように思います。
逆に、豪華さでブランドを獲得している会社がA380を導入するとうまくいく、という見方もできるかもしれません。元々豪華なイメージで売っている会社が、そこにさらに豪華な機材を導入することでそのブランドを強化することにつながっているという見方もできますね。逆に、A380でうまく行っていないように見える会社、例えばルフトハンザやアシアナ航空などに「豪華」というイメージを抱く人は少ないでしょう。
あるいは、ハブ空港を拠点にしていることなのか
あとは、両者が世界有数のハブ空港を拠点としていることも関係していると言えそうです。エミレーツはドバイ(ドバイ国際空港)を、シンガポール航空はシンガポール(チャンギ国際空港)を拠点にしていますが、このどちらの都市も世界有数の金融市場となっていて、空港はハブ空港としての役割を果たしています。当然、これらの空港は扱う旅客量が多くなりますから、前の記事で言及した、今の航空会社にとって大切な満席率を上げることに貢献していると言えそうです。ドバイもシンガポールも、ビジネス・観光両面で魅力を持った都市なので、その特徴が集客に役立っているのは間違いないでしょう。エミレーツに至っては、「A380なしにはドバイではスロット不足に陥っていただろう」とCEOが述べていることを考えると、この会社は実にうまくA380を利用しているように見えます。
というわけで、時間を持て余した末にぼんやりと考えていたことでしたが文字にすると意外と多くの分量になりました。いろいろな面で現代にはそぐわない超大型機のA380ですが、少しでも長く生き延びてもらいたいものです。乗客の側としては、やはりA380の持つ快適性というのは捨てがたいものがありますね。